イジメある世界

転校生の川田くん

僕が通っていた小学校は3クラスありました。

たぶん、比較的平和な小学校だったかと思います。

 

重松清さんの「かあちゃん」を読んで、あることをふと思い出しました。

平和な小学校だったのですが、それでもイジメがゼロだったわけではありません。

 

4年生くらいだったと記憶しています。

隣クラスの転校生は、転校してきて間もなく権力を握るようになりました。

とにかく威圧して、回りをどんどん従えるのです。

 

僕は隣クラスだったのですが、もちろん同じ学校なので、その空気感は何となく伝わってきます。

転校生を仮名・川田くんとしましょう。

 

川田くんは、1人1人威圧して従わせました。

そして1人をターゲットにしてイジメをしていました。

 

従わせていた子分に指示を出していました。
よくあるパターンです。 「俺の言う通りイジメなきゃ、今度はおまえをイジメのターゲットにするぞ」

 

僕はと言えば、川田くんとは野球チームで一緒でした。

しかも2軍のキャンプテンという微妙な立ち位置で、そのメンバーにいたのが川田くん。

会えば「おう!」と挨拶するくらいの仲。

 

僕は平和主義のおとなしい性格。それは昔から変わりません。

僕みたいな人間は、従わせようと思ったら簡単だったんじゃあないかと思いました。

キャプテンと言っても、たかが少年野球の2軍です。

監督が適当にあてがった役職です。

 

クーデターが起きる

ある日、川田くんのクラスでクーデターが起きました。

 

川田くんがいないうちに話し合い、川田くんを「完全無視」すると結託したのです。

ある朝教室に入ると、みんな川田くんを完全無視。

 

2年くらい権力を握っていた川田くんはブチギレました。

 

怒った川田くんは大暴れして、机を投げたり、みんなの教科書・ノートを破いたり。

それでも皆んなの完全無視は終わりませんでした。徹底していました。

 

いつも助さん角さんのように引っ付いていた子分もいない。

クラスで喋ることができなくなりました。

川田くんは登下校、1人になりました。

 

自転車通学なので、たまに川田くんとすれ違います。

僕は彼が天下を取っていた時も、蹴落とされた時も、態度を変えませんでした。

 

「じゃあね!」

「バイ!」

 

僕は悪い言い方をしたら「傍観者」だったかもしれません。

でも、今は「違うな」と自分を見ています。

 

イジメをしていた川田くん。

しかし彼は、ただ威圧して権力を握ろうとしていただけ。

 

大きな声を出して「テメェ!今ガン飛ばしたろう!土下座しねぇとブッ殺すぞ!!!」

と、チンピラみたいに騒いでいただけ。

 

彼がタイマンして圧倒的強さを見たことは、少なくも僕はありませんし、聞いてもいません。

その威圧に負けて、平和主義が多かった皆は従った

 

自分の拳は痛めないで、他人の拳を使ってイジメを遂行した。

 

それに「おかしい」と気がつくのは、自分らでしなくてはいけない。

先生にも、親にも、隣クラスにも頼らず、自分たちで解決しなくてはいけないと本能が言ったのでしょう。

 

自殺に追い込まれるレベルなら、頼るべきだったとも思います。

この判断は簡単にできません。

 

簡単に頼ったら、自分で解決するという力を奪います。

 

イジメというのは、残念ながら死ぬまで続きます。

老人会でもイジメがあります。

 

人間はまだ、「弱いものイジメ」が抜けられない他の動物と同じです。

戦争という経済覇権争い、途上国から搾取する先進国、イジメは存在します。

 

大人になった時、自分の力で解決しなくてはいけない。

サラリーマンの世界も、教員の世界も、ママ友の世界も、どこにも大なり小なりのイジメがある。

 

クーデターはなるべくしてなりました。

 

 

川田くんのその後

そんな川田くんは、僕にベタベタしてきませんでした。

それはどうしてなのか良く分かりません。

1人のままでした。

 

僕の性格上、「遊ぼうぜ!」と言われたら、遊んでいたと思います。

彼のプライドなのかなんなのか、最後まで挨拶だけの付き合い。

 

そんな川田くんは中学生になり、いつの間にか転校してしまいました。

平和だった学校にいきなり転校してきて、大暴れして、反撃されて、いつの間にか転校してしまいました。

 

最後まで、折られた鼻はそのままで転校しました。

 

ヤンチャな男の子は、基本的には寂しがり屋です。

寂しいから人とつるみたがる。

 

威圧して従わせるという方法でしか、寂しさを埋める術がなかったのだろうか?

そんなことを思いました。

 

もちろん、イジメられた人間もいるので、彼をかばうつもりはありません。

皆んなで勇気を出し、結託して完全無視というクーデターを起こさなければ、川田くんの暴走は止まらなかったでしょう。

 

皆んなの判断が凄いなと思うのは、1対クラス男子全員なら絶対勝てる。

なのに、暴力的なこと、暴言などは一切しなかったと後から聞きました。

 

むしろ、完全無視というのは、一番キツかったかもしれません。

寂しがり屋だったかもしれない川田くんにとっては、一番のお灸だったと思います。

 

僕は川田くんの家庭環境を考えてしまいました。

4年生くらいに転校してきて、よく覚えていませんが中1くらいにはいなくなったかと思います(うちの地区は9年間一緒のエスカレーター式で、メンバーが一緒)

 

家庭環境が複雑だったのかもしれない。

転勤族でいつも友達ができにくく、友達を作る方法が「威圧」だけでしかなかったのかもしれない。

 

生まれもって暴力的な人間もいるかもしれませんが、僕が知る川田くんは「明るく気合いの入った男」でした。

クーデターを起こされて孤独になっても、僕にはいつも笑顔で「おう!」でした。

 

1人黙々とプラモデルを作ったり、絵を描いていたりが多かった僕なので、気が合うかと聞かれたら合わない方だと思います。今も昔も、つるむのは苦手な方です。

 

でも、僕個人的には嫌いではありませんでした。

 

人間は脆く弱いところがある

早くから助さん角さんみたいな立ち位置だった男の子は、川田くんのことが境に、性格が変わってしまいました。

 

それはクーデターがすっかり終わってからもです。

それは仕方ないことだと思います。

 

僕が彼らだったら、もう死んでいたと思います。

僕の性格上、自ら命を経っているか、精神をおかしくして自分がした「生き恥」から逃れたと思います。

 

昨日まで笑いあっていた友人を、怖いからと言って指示通りイジメたとしたら…

その汚点は40年経っても消えませんでした。

 

たぶん男は、「カッコいいのか?悪いのか?」が基準で生きている。

 

「カッコイイ」の基準は人それぞれ。

●「サラリーマンになって、少しでも出世することがカッコイイ」
●「少しでも良い車に乗ることがカッコイイ」
●「モデルのような女性を隣に歩かせるのがカッコイイ」
●「世界の平和のためにボランティアすることがカッコイイ」

 

僕がカッコイイと思う基準は、自分を落としてでも、大切に想う人を守る。

もうこれは「ウルトラマン」「仮面ライダー」から来ている思考かもしれません。

 

そんな僕の最大にカッコ悪い行動は、「自分の保身の為に、大切な人を踏みにじる」

 

イジメることは完全にカッコ悪い。

しかし、自分がターゲットになったら怖いからという理由で、大切な友人をイジメたら…。

僕の価値観で言うと、イジメの主犯格よりカッコ悪い。

 

罪の重さは主犯格だが、カッコ悪さは指示に動いた人間。

 

「怖くて大切な友人をイジメた」

そんなことを1度でもしてしまったら、僕はもうこの世にはいなかったと思います。

自分という人間でいることに、絶えることはできなかったと思います。

 

だから、あの事件を境に性格が変わってしまった彼らの気持ちが分かります。

 

僕は川田くんとは、たまたま隣のクラスだった。

そして何故か野球で一緒に汗を流していた。

そしてたまたま2軍のキャプテンという微妙な立場(笑)

それがなかったら?

 

川田くんと同じクラスで、野球をしてなかったら?キャプテンじゃなかったら?

僕は川田くんの指示に従い、大切な友人をイジメたのだろうか?

 

僕は10歳の僕に問いかける。

君ならどうした?

たまたま運が良かっただけじゃないか?

自分が大切にする尊厳を守れることができたろうか?

 

今なら絶対そんなことはしませんが、10歳という年齢で、義務教育という逃れられない檻の中。

自分は尊厳を守ることができたのだろうか?

 

このクエスチョンには「自分は絶対そんなことはしなかった」とは言えません。

僕はそんなに気が強い人間でも、人一倍正義感強い男でもありません。

 

第三者的に罪をなじるのは簡単です。

でも、自分がその立場ならどうした?

このようにいつも考えています。

 

なじったりディスったりは簡単。

でも、僕も含めて、人間は弱く脆いところがあります。間違いだって犯します。

 

重松さんの本を読み、川田くんはどうしているのだろう。

助さん角さん、あのクラスの男子たちはどうしているのだろう。

 

そんなことを思いました。

 


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